類は友を呼ぶ

 波長同通の法則というものがあるようです。精神科で入院治療をしていても、どうにも診断名をつけるのに悩む人が、たまにいらっしゃいました。そういった際に、私が指導を受けた先生方は、入院中に、その患者さんが、どのグループの患者さんたちと親しくなるかをチェックしていました。不思議なくらいに、ご自分の病状に合ったジャンルの患者さんたちと交流されるようになりました。それを確認しつつ、最終的に診断されていました。これは一般社会においても、かなりの確率で成り立つ法則のようです。「どうして、あんな人と付き合っているんだろう?」と思えるような友人関係などもあります。でも、どこかに似たものや惹かれあうものを持っていることが多いものです。もしくは染まっていくのでしょうか?

 

 当院での治療を問題なく続けられたり、良くなって笑顔で卒業された方々は、私から見ても「良い人」です。世間一般の方々以上に、優しく、常識もお持ちの方が多いです。感性や能力的にも高く、社会的立場の高い方も多いです。私としては、当院受診歴のある方を、一つのブランドにしたいとまで考えたりしています。

 

 反対に、当院や私と激しく合わない方が、たまにいらっしゃいます。アスペルガー傾向の強い人や、ゆとり教育の弊害などで、実際の実力とご自身のプライドの乖離が激しい方などに多い印象があります。
 このような言い方をすると、誤解される方が多いと思います。というのは、そういった傾向の強い方は、自己認識に欠けており、自分にそのような傾向があると自覚していないことが多いのです。「自分は悪くない。悪いのは相手だ」と認識していることが多いです。逆に、「自分はアスペルガーではないのか? 人として未熟なタイプではないのか?」と悩んでいるような人は、たいていは違っています(汗)。人として良心的だから、自分をネガティブに考えてしまい、周りから傷つけられていることも多く、私とも気が合います。専門家といわれる人たちでも誤診しているケースが多いようです。ぜひ、佐々木正美先生、内山登紀夫先生、十一元三先生などレベルの高い専門家の著書を読んだり、勉強会に参加するなどして診断力を高めていただきたいです。

 

 私は、なるべく裏表のない、ありのままの自分で接するように心がけています。それは、患者さんに、本当の自分を出しても大丈夫な場所であることを感じてもらいたいと思っているからです。医者も差し支えのない範囲で“素の自分“を出して、見本となるべきだと思うからです。それゆえに、それが私と合わない方の反発心を強く刺激する面もあると思います。もちろん、相性の問題もあるでしょうけど・・・・・・。
 このような方の、ご家族や周囲の人たちは、大丈夫でしょうか? 余計なお世話でしょうけど心配になります。プロの私でさえ、できれば距離を取りたくなります(汗)。ちなみにアスペルガー傾向の強い人同士は相性が良いことも多いようです。淡々と薬だけを処方してくれる医療機関の方が合っている場合があるようです。良い環境が見つかりますように。